悠々
目の前に広がる海は
あいにくの曇天のために
暗い灰色で
しかも かなり寒かった
空は それでも
何か
魅力的だった
その理由が 後からわかった
何か大きなものが
羽ばたいていたのだ
灰色の寒空を
桜の花たちを凍えさせる空を
何か
大きな白いものが
羽ばたき渡っていたのだ
音はしない
ただ羽を広げたところへ
ゆったりとした風が吹いてきて
飛ぶべき方へ
求められている方へ
渡ってゆく
バタバタ 羽を振ることはしない
進む方角を自ら操作しはしない
飛ぶと決めたら
飛び続ける努力だけは怠らないが
羽は風に任せる
そして
目に入る景色を楽しむ
悠々と
曇天の空を
悠々と飛ぶ
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