かなしみのほとり
とても静かでした
しーん しーん と
していました
20年で大きくなった木々は
パティオに
やさしい陰をおとし
緑の風をそよがせていました
ときおり
鳥たちのさえずりが
聞こえてきます
小さな花たちは
微笑み続けています
声ではなく
実体ではなく
ここにいる
ここで見守っている と
風になって
空気になって
漂いながら
包んでくださっているのでした
感じるけれど見えない
会いたい
感じるけれど掴めない
触れたい
声を聞きたい
今はまだ
静けさだけが
寄り添い
かなしみを深める
しーん
しーん と
しーん しーん
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