殺生
今春はぷにぷに達が育たない年でした。
四月の終わり頃アゲハがやってきて、
たしかにたくさんの卵を産んでいったのに、
チビチビたちはたくさんいたのに、
ブニブニまでは確認していたのに、
そのあと次々に姿が見えなくなって、
蛹の姿まで確認できたのはたったの一匹でした。
その原因は、蜂だったのかもしれません。
時々、蜂の仲間が飛んできているのを見たことはありました。
今日、いつものようにミカンの木を見ていたら、
まだ乾いていない濃い緑色のドロドロしたものが
葉っぱにベチョッとついていました。
一瞬、ぷにぷにが成長して
知らぬ間に蛹になろうとして立ち去った痕跡?と
思いましたが、それにしては大量です。
そこへアシナガバチがやってきて、枝や葉っぱに止まり、やがて葉の茂みに潜り込みました。
何しているんだろうと覗き込むと、側にぷにぷにの姿。
あっ、狙われている!
とっさに、ベランダ用の小さな箒でアシナガバチを追い払いました。
蜂の中にはチョウの幼虫に卵を産みつけるものがいると聞いたことを思い出しました。
調べてみると、もっと酷いことに、幼虫をバラバラにしてアシナガバチの子の餌にしているという記事もありました。
さっきのドロドロはもしかして・・・
ひどい・・・
アシナガバチに憎しみしか湧いてきませんでした。
ミカンの木には、ちょうど脱皮したてのぷにぷにと、もう一回り小さいぷにぷにが2匹残っていました。
この2匹を守りたい。
ミカンの木のプランターを窓の近くにずらしました。人の気配を感じたら、蜂は来なくなるんじゃないかと思ったからです。
でも、数分経った頃、またやってきました。
追い払っても追い払っても、何度もやって来ます。
追い払ったアシナガバチがベランダの塀に止まった時、とうとう私は「もう来ないで!」と蜂を叩いてしまいました。
蜂はベランダの溝に落ちました。
まだ生きているのか、死んでしまったのかはわかりませんが、そのまま箒の先で払い退けて、ベランダの外へ落としてしまいました。
なんとも言えぬ心地悪さが残っています。
アシナガバチも生きているのです。精いっぱい生きているのです。
それを私は自分勝手な憎しみの感情から叩いてしまったのです。
何も知らないぷにぷには、モリモリと葉っぱを食べています。
そんなことを望んでなんかいないよ、と涼しい顔して葉を食べています。
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