ありがとう、またね。そしてよろしく。
ここ数年オールドマンドリンを弾いてきた。
やや小ぶりで、使われている木は厚みの少ないものだったので、軽やかな音をカラカラコロコロと鳴らしてくれていた。
背の小さくなったまぁるいおばあちゃんが、軽やかに昔話をしたり、馴染みの曲を口ずさんだり、そんな印象だった。
時々、私が思いを込めて構えると、その思いをまっすぐ温かく受け止めてくれて、柔らかく一緒に歌ってくれた。
昨日はこのオールドマンドリンで歌の伴奏にチャレンジ。
ピアノ伴奏にマンドリンパートを加えたものをスタジオで録音。
直前に合わせても弾き始めると少し下げてしまう弦調子。それでもがんばって歌ってくれた。
これで一旦弾き納め。
次は、あなたともっと話の合うおばあちゃんになったころ、また一緒に歌いましょうね。
これからメインでお付き合いいただくのは、カラーチェマンドリン。マンドリンを弾く人ならいつかは手にしてみたいと憧れる楽器。
こちらをご縁あって暫くお借りすることに。
小ぶりのオールドに慣れてしまった私にはなかなか手強い。
一回り大きく、重みも違う。
楽器を包むようにまわす右腕も、肩甲骨から持っていくようにしないとピックをもつ指先がサウンドホールに届かない。
左手の運指も、これまでより間隔を広めに取らないとフレットに合わない。押さえるのに力がいる。
そして何より、ダウンアップの一つ一つがそのまま音になる。なんとなく動かしてピックが弦に当たっても音として表れてこない。
あなたに弾けるかしら?
楽器も今のところこちらの様子を伺っているよう。
遠慮がちに、これではどうでしょうか?
今度はどうでしょうか? と練習を始める私。
元の持ち主の優しさを思い出しながら、彼女が大切にしたマンドリンが、再び気持ちよく歌い出してくれるよう時間を重ねていきたいと思っている。
春生さん、どうかお見守りください。
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