オールド楽器
雨上がりの朝
立ち昇る夏草の匂い
ゴム草履のピタピタ
朝露の冷たさ
土のざらつき
公園のラジオ体操に集う
いかにも休日の朝然とした
出立ちの大人たちの
低い声のボソボソ
正しく明るすぎるラジオの歌声と
ハイテンションな音声に
身体がひっぱられて
揺さぶられて やがて
まっすぐと立つ
ああ、あの朝の感覚が
50年たった今も
体の中に 確かに ある
いのちの歓びを感じるセンサーは
もっともっとずっと以前からの
魂の記憶として刻まれたもの
何かの刺激に ふと
呼び戻されて
共振して 共鳴して
より大きく振動する
ずっと生きている
魂を震わせることさえ忘れなければ
人は ずっと生きている
ますます感度高く生きることが
人も きっとできる
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