新世界
もうトンネルを抜け出ようじゃないか
もう十分歩いたよ
そうだよね、そうだよねと
うなずきながら
でもさ…に続く言葉はぐっと呑み込んで
歩いてきたよ
でも さ、
だから さ、
ほら、もう、いいんじゃない?
もう、いいんだよ
トンネルを抜けた世界の明るさを
知ってしまったんだもの
眩しくって 気もちよくって
空も木々も草花も
鳥も虫も
川も岩も石ころも
あらゆるものが命を輝かせて
それぞれの歌をうたっているんだ
迷い、苦しみ、心のつっかえ、
不安、やっかい、悲しみ、怒り、
好きも嫌いも みんなみんな
流してしまえ
流してしまっていいんだよって
するとね
ほら、
ああ、いい風が吹いているって
気がつくじゃないか
小鳥たちの美しいさえずりが
聴こえてくるじゃないか
こっちだよ こっちだよと
人の姿を借りて
本の言葉になって
古今東西の人の言葉として
導いてくれている世界
ついに天に還って
いちだんと大きな光となって
照らしてくれている世界に
生きていこうよ
いつだって半分は空っぽなんだ
何を入れていきたいかい?
眩しくて美しくてうれしくて
やわらかであたたかくて
抱きしめたくなるもの
よろこび溢れるいのちのかけらを
いつでもここに入れていく
常に流れていってしまうから
留まらない美しい流れを入れつづける
カエル先輩
どうぞよろしく
あなたの世界の住民に
わたしも入れてくださいな
写真は全て新潟県 清津川、清津峡。
田村彰浩さん、ありがとう。
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