しずかな朝
空が少しずつ目覚めていくように
心と身体もゆっくりと起きてくる
いきなり動かし働かせるのではなく
起きてくる感覚を感じながら
しずかな朝を過ごす
風を感じながら
匂いを感じながら
音を感じながら
心が動き始め
身体が動き出せるようになってくる
それを待つことができるのは
なんていい朝だろう
玄関から一歩踏み出し
今朝最初に感じたのは
小学生の頃の夏休みの早朝
ラジオ体操に向かう朝の匂いだった
いったい記憶のどこに
そんな感覚が眠っていたのだろうかと
不思議に思う
ゴムぞうりの素足で感じた
朝露に濡れた草の冷たさ
歩くたびにペタペタと鳴る音
三三五五 公園の広場に集まってくる
大人 子ども
話すでもなく
適当な間隔をあけて
ラジオの音が鳴り出すのを待つ
終わって
カードにハンコを押してもらうために列を作る頃には
すっかりいつもの活発さを取り戻している
聞こえてくる音も
目にする景色も
いつもの物音、見慣れた町になっている
おしゃべりも始まる
生活が始まる
しずかに始まる朝に
心と身体を合わせる
ぼわーんと広がり滲み出してゆくこの感覚がすき
今ならわたしも
野原の草たちと仲良くなれるかもしれない
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